高頻度でサンプリングしたGNSS(Global Navigation Satellite System)データの活用を検討するために,本科研費を用いてGNSS受信機を購入し,3か所に設置してデータを取得してきた.現在の設置場所は福島県いわき市の上遠野小学校,茨城県鹿嶋市の大同東小学校および静岡県静岡市の静岡大学構内の3か所である.上遠野小学校周辺では2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の余震活動が活発な地域にあり,本年度も多数の地震が発生した.これらの中から,数回の顕著な地震について50Hzサンプリングによる地震の震動を含むデータを取得した.これらのデータを解析したところ,2013年9月20日でいわき市直下で発生した地震の震動を捉えることに成功した.この地震では上遠野観測点近傍で震度5強を記録した.一方,同年12月31日に発生した同地域の地震では地震動をGNSS観測で捉えることはできなかった.この地震では同地域は震度4程度であり,この程度の地震動ではGNSSでは捉えるほどの振幅がなかったものと考えられる.9月20日の地震記録について詳細に調査するために同観測点の近傍で取得された強震観測網の観測点記録を取得した.これらを比較することにより,GNSSによる記録の特性が明らかになると期待される.一方,すでに本研究で指摘したように,サンプリング頻度が数Hzを超えるとデータの周波数特性が無視できないものとなることから,この補正方法についても今後検討を進める予定である.もし適当な補正によって高頻度サンプリングGNSS記録が地震動の正確な把握が可能となれば,このような記録がどのように活用できるか検討できると考えられ,今後の固体地球科学の新たな計測ツールとしての可能性が図られるものと期待される.
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