沖縄県八重山諸島直下でスロースリップイベントが発生していると考えられている。このイベントをより高い空間分解能で観測するため、大原・船浮・黒島・小浜島の4カ所でGPS連続観測を実施している。当該年度では、まずGPS観測点の台風対策を実施し、アンテナが風速50メートルまでは耐えうるような仕様とした。データも蓄積されており、得られたデータ解析を行ったところ、スロースリップイベントの検出に成功している。国土地理院による既設点の結果と合わせて検討したところ、スロースリップによる変位は国土地理院の波照間観測点が、北にある大原、北東にある黒島より大きいことがわかり、滑り領域の下端をより高い分解能で拘束することができた。これにより、地震間地殻変動が顕著に異なる南海・琉球海溝の他の地域と同程度の深さまでスロースリップがおこっていることが明らかになりつつある。スロースリップの発生機構を探る上で大きな手がかりとなると考えている。まだ成果の公表には至っていないが、整理ができ次第公表する予定。
|