研究課題
地球マントル最深部に存在しているポストペロフスカイト相のレオロジーを理解することは、地球内部で最大の境界である核・マントル境界の流動現象の理解に必要不可欠であり、全地球ダイナミクスの解明に非常に重要である。しかしながら、珪酸塩ポストペロフスカイトは120GPa以上の高圧下のみで安定であり、レオロジー特性を実験的に決定することは非常に困難である。そこで、本研究では、ゲルマニウム酸塩をアナログ物質として用いることにより、実験的にポストペロフスカイト相のレオロジーに迫ることを目的としている。今年度は、まず、アナログ物質MnGeO3の安定領域を精密に調べる実験を行い、圧力60GPa、温度1600Kで低圧相のペロフスカイトからポストペロフスカイト相に相転移し、その勾配は13MPa/Kであるということを明らかにした。これは、最下部マントルの温度構造、ひいては、.マントル流動に関しての新たな情報を提供することになる。ポストペロフスカイト相の安定領域が明らかになったことにより、その安定領域での粘性率を見積もるために必要な拡散係数決定の実験に取り組みつつあるところである。また、ペロフスカイトからポストペロフスカイト相転移における結晶粒の細粒化の有無を調べる実験を行った。相転移その場)X線回折実験から得られた予備的な実験結果は、細粒化が起きることを示唆している。固体物質の場合、物質構成粒子の結晶粒が細粒のとき、粗粒な場合と比較して、その粘性率は低い。すなわち、相転移に伴う粘性率の低下が予想される。このことは、最下部マントルに沈み込んだスラブのレオロジーを考察する上で重要である。
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