研究課題
2004年に下部マントルの主要構成物質である珪酸塩ペロフスカイトのさらなる高圧相が発見された。この高圧相はポストペロフスカイトと言われており、相転移の温度圧力条件から地球マントルの最下部D"層を主要に構成すると考えられている。本研究では、このポストペロフスカイト相のレオロジーを明らかにし、マントル流動の観点から全地球ダイナミクスを議論することにある。昨年度に引き続き、D"層における結晶粒径にかんする研究を行った。構成物質の結晶粒径は、その物質の変形様式を支配する。結晶粒が小さい場合には拡散クリープが卓越し、結晶粒が大きい場合には転位クリープが卓越する。地球物理学的観測、および、アナログ物質を含めたポストペロフスカイトにおける変形実験より、D"層においては、ポストペロフスカイトは転位クリープで変形していると考えられてきている。しかしながら、昨年度および今年度行った相転移その場X線回折実験により、相転移後の結晶粒径は非常に小さいことが明らかになり、ポストペロフスカイトでは拡散クリープが卓越しているだろうということが分かってきた。この知見は非常に重要であり、地球物理学的観測データとの対比を行うことにより、マントルダイナミクスの解釈に新たな制約を与えうる。一方、上述したような実験をより広い温度圧力領域で安定して行うための実験実の開発も併せて行ってきている。この開発した技術を用いて、今後は、拡散クリープの場合でのポストペロフスカイトの粘性率の見積もりを試行する。
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