研究課題
本研究の目的は沈み込みプレート境界地震発生帯における速度物性分布を天然の岩石から取得することである。そこから地震断層に境される岩石の岩石化度および断層強度を定量的に理解し、その変化に関わる物質的メカニズムを明らかにする。研究計画は大きく4つに分けられる。1.速度物性測定機器の開発、2.四国白亜系四万十帯における速度物性測定とその分布の検討、3.三次元反射法データとの比較、4.物質科学的データ(変形組織、セメント物質量、粘土鉱物組成、間隙率など)との比較である。初年度である21年度は主に機器開発とテスト、フィールドの選定および物質科学的データの予察的な取得を行った。機器開発では圧力容器の設計、圧電素子ブロックを組み込むための改造、圧電素子の選定、電気系コネクタの小型化、コンピュータとの接続および電子制御のための汎用ソフトウェアによるプログラミングなど様々な開発作業をこなした。特に圧力容器の設計では米国の会社とのやり取りで非常に時間を取られた。シリンジポンプの予算について輸入に伴う加算が予想を大幅に越えており、資金繰りの交渉に難儀した。ベンチトップテストで圧電素子ブロックのテストおよびコンピュータプログラムのテストを行った。また、岩石円柱試料の成型のノウハウを獲得し、最終的に白亜系四万十帯の均質な頁岩のテストにこぎ着けた。また、共同研究者と実際のフィールドの選定を協議し、徳島県牟岐メランジュの北縁断層を量初のターゲットとすることを決めた。機器開発の遅れから計画がずれ込んだため、より確実な結果を得る必要性からである。広域的な測定も同時に行って行く予定である。予察的な研究として、すでに米国で弾性波速度を測定した試料について、X-ray micro CT解析やフィールドエミッション電子顕微鏡による堆積物組織の観察も行った。これらは弾性獲得プロセスと検討する上で必要な分析であるため、そ手法を獲得する目的もある。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (31件)
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