本研究の目的は、トランジット現象を起こす長周期の系外惑星系を発見することである。そのために長時間連続モニター観測が可能な南極ドームふじ基地に、全自動の小型測光望遠鏡を設置する。平成21年度にはこの全自動測光望遠鏡の製作を開始した。赤道儀架台は-80℃の低温で作動するように各部のオイルをすべて除去し、二硫化モリブデンおよび特殊のグリスに交換した。制御用の計算機も長期間低温環境にさらされるため、機械的な駆動部のない構成にした。 測光観測する候補天体の選定も開始した。ドップラーシフト法ですでに惑星の存在が知られている天体のうち、ドームふじ基地から常に高度45°以上で観測できる天体、およそ50天体を選別し、観測スケジューリング方法の検討を行った。トランジット時刻の予報誤差は、数時間のものから数ヶ月のものまで幅広く、トランジット現象を逃さず、かつ効率よく出来るだけ多数の天体をモニターするスケジュールを作ることは、トランジット検出に極めて重要な作業である。 また、南極の観測条件として重要な水蒸気量をモニターする装置を南極仕様に改良し、第51次南極地域観測隊に委託した。この装置は太陽の光を分光し、水蒸気による吸収の量を0.9-1.6μmのスペクトルから求めるもので、河畔型の水蒸気モニターとしては始めての試みである。第51次隊による観測で結果標高2000m-3800mにかけての複数地点での水蒸気量測定に成功した。現在データを解析中である。
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