研究概要 |
地球内核境界の構造とタイナミクスの解明は,地球磁場を維持するタイナモのエネルギー源や地球の熱史を理解する上で大変重要である.本研究は,地震学・地球電磁気学の分野で共同して,この課題に取り組むものである.本年度は以下の項目を遂行した. 1.地震波解析.内核境界で反射するPKiKPと内核境界を回折して伝わるPKP-Cdiffのうち,どちらが解析に有効であるかを検討した.その結果,PKP-Cdiffの方がデータ収集が容易であり,地域的により広い範囲をカバーできることが分かった.きた,地殻やマントルの影響をできるだけ減らすために,内核の内部を通過するPKIKP波との走時差や振幅比を取ることが有効であることも分かった.しかしながら,PKIKP波は内核の不均質や異方性の影響を受けているので,データの解釈にはまだ検討を要することも明らかになった. 2.内核成長シミュレーションを行うために用いるワークステーションを導入し,並列計算を可能とする計算機システムを構築した.また、1次元内核成長数値モデルの開発を開始した.これと並行して,数値モデル計算結果との比較・検討のために、解析的な1次元内核成長モデルを構築した. 3.内核の成長および運動に関連する地球ダイナモシミュレーションに向けて,取り入れられているパラメータが適切か否かを検討するために,非等方拡散を含めた局所的なMHD計算を実施した.その結果,内核境界付近などでは,非等方性の影響が強いことを示した.
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