研究課題
深層海洋大循環モデルの高精度化に向けて必要不可欠な情報の一つとなる超深海での鉛直乱流拡散のグローバルな強度分布を明らかにするため、当初は、数本の投棄式乱流計を購入し、北海道大学水産学部附属「おしょろ丸」の平成21年度の航海で海洋中に投入することを予定していた。しかしながら、メーカー側の大幅な開発遅延により、この投棄式乱流計の製作を断念せざるを得ない状況になってしまったため、平成21年度の科研費を翌年度に繰り越し、すでに研究室で所有している超深海乱流計の本体に装着可能な電磁流速計を開発することで、超深海における鉛直乱流拡散の的確なパラメタリゼーションの式を明らかにしていく計画に変更することにした。実際にメーカーから提供されたこの電磁流速計の試作品を超深海乱流計に装着して平成22年7月の「おしょろ丸」航海中に実地テストを行ったところ、不備な箇所がいくつか判明し、その解決に予定外の時間を要してしまったが、最終的に、海面から深さ約5000mまでの各深度における鉛直乱流拡散強度とその背景に存在する水平流速の鉛直シアーとを同時観測する我が国初の「マルチスケール・プロファイラー」を完成することができた。また、この測器開発の一方で、「超深海における海底地形の凹凸から鉛直上方へ伝播する内部潮汐波」と「深海の背景場に存在する内部波」との非線形相互作用に関する高精度の数値実験を行った。その結果、この非線形相互作用を通じて海底地形の凹凸上で励起される鉛直乱流拡散の強度は従来推察されてきたものよりも鉛直方向に急激に減衰すること、すなわち、境界乱流混合のホットスポットは従来推察されてきたものよりも海底地形凹凸の近傍に限定される形で存在していることを明らかにすることができた。
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