研究課題
エルニーニョ現象の引き金として世界が注視している西部熱帯太平洋における西風バースト(以下、WWB)の連続発生に関わる積雲・海洋混合層フィードバックとそれによる日周期大気海洋熱・水交換過程の効果をシミュレートできる雲分解大気海洋結合モデル実験により、平年よりも海洋混合層の深い正の蓄熱アノマリー状態を再現するとともに、バリアーレイヤー(以下、Bl)の形成ならびにWWBの発生・発達に関し、以下のような知見を明らかにすることができた。(1)積雲対流により概ね5mm/時間以上の日スケールの降水があると、海面近傍は強い塩分成層により海面付近にBLが形成され、潜熱放出による高塩分化と低水温化による密度不安定対流は発生できず、直下の季節混合層へ相対的に高温な日スケールの混合層水の補給はおこらず、WWBの連続発生の重要条件である季節混合層の正の蓄熱は起こらない。(2)一方、海面水温が29℃を超え、強い降水が間欠的に発生する場合には、弱降水時の夜間冷却による対流によって、日スケールの混合層内の低塩分水が下層に運ばれ、弱いBLが季節混合層に発生する。その後に発生する強い降水に伴って同様な過程が繰り返されることにより、季節混合層の蓄熱が進行するとともに、観測される強度のもったBLが季節混合層に形成され、以深の冷たい水との熱交換が遮断され、正の蓄熱状態が保持される。以上の知見を踏まえたWWBの連続発生とエルニーニョ・シミュレーション実験を次年度行い、本年度に整理したシノプティックデータと比較検討するとともに、気象庁気象研究所グループとセミナーを行い、で去るだけ早い時期に国際誌に投稿する。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (12件) 図書 (1件)
Deep-Sea Research I 56
ページ: 495-512
Journal of Climate 21
ページ: 1569-1588
Oceanography 22
ページ: 160-167
Journal of Geophysical Research -Oceans 114
ページ: C11003, doi : 10.1029/2008IC005208
SOLA 5
ページ: 69-72
京都大学防災研究所年報 (Disaster Prevention Research Institute Annuals) 52
ページ: 737-746