研究課題
本研究では、第24太陽活動極小期における特異な太陽風の構造が、太陽活動の上昇に伴って如何に発展してゆくかを、名大STE研の惑星間空間シンチレーション(IPS)システムによる太陽風のグローバル観測から明らかにしてきた。今年度も昨年度に引き続き、本課題で改良したIPSシステムを用いて観測を実施し、得られたデータから太陽風のグローバルな分布を調査した。その結果、2012年10月頃には南北両極の高速風が消失し、全球的に低速風が分布するようになったことが判明している。この事実は過去の極大期に見られた特徴であり、現在太陽磁場の反転が進行中であことと一致する。しかし、過去と大きく異なるのは、低緯度に小さな高速風領域が分布し、全球的に低速風の面積が少ないことである。低緯度の高速風は本研究課題に着手した極小期もみられ、今サイクルを通じた特徴といえる。また、極小期には全球的にみると高速風が少なかったことから、今サイクルは過去と比べ高速風・低速風の領域が変化する振幅が小さくなっていると結論された。さらに極磁場との相関を調査したところ、高速風・低速風の面積は極磁場強度とそれぞれ正相関・負相関を持って変化しているが、今サイクルの変化は過去とは異なる軌跡に沿っていることがわかった。このことは、ダイポール磁場より高次の磁場成分による寄与と考えられ、ひので衛星の観測から報告された太陽磁場の四重極子化と関連があると推定される。今後、極大期から次の極小期へ向けて太陽風にどの様な変化が生じるか興味ある課題となっており、継続した観測研究が必要である。また、Voyager探査機による太陽圏境界域の観測研究においても本研究課題で得られた知見は重要な意義があり、太陽圏境界域の研究グループとの共同研究を推進することで、さらに多くの成果が得られると期待される。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Cross-Calibration of Past and Present Far UV Spectra of Solar System Objects and the Heliosphere
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http://stsw1.stelab.nagoya-u.ac.jp/ips_data.html