研究課題/領域番号 |
21340141
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研究機関 | 国立極地研究所 |
研究代表者 |
中村 卓司 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (40217857)
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研究分担者 |
山本 衛 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (20210560)
阿保 真 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (20167951)
江尻 省 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (80391077)
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キーワード | ライダー / 中間圏下部熱圏 / 可搬型 / 共鳴散乱 / 光電波観測 |
研究概要 |
超高層大気と中層大気の相互作用は、大気温度・大気組成・イオン組成などの変動を観測可能な共鳴散乱ライダー観測をレーダーや大気光観測、イオノゾンデやロケットなどの地上及び飛翔体観測に加えることで、これまで観測できなかった種々の物理過程を明らかにできると期待される。本課題では、中層大気と超高層大気の結合領域で起こる、大気不安定構造とそれに伴う鉛直混合過程やオーバーターニング、ダブルピーク現象、スポラディック層など、これまで断片的に見られてきた諸現象について、ライダーを加えた光・電波の協同観測で詳解し、乱流圏界面の解明の手がかりを探る事を目的とする。 1)協同観測データの解析 前年に続いてこれまでの各地の観測データの解析を進めた。大気重力波のイベントの詳細解析を行った他、大気光イメージング観測に見られるリップル構造とライダー観測による大気安定度の比較検討を進め、その相関についてライダーによる物理パラメータの高度勾配解析法の影響や酸素原子の高度勾配の影響を指摘した。また流星群によるNa大気組成の変動の影響とくに時定数を明らかにした。 2)可搬型ライダーの開発 電離大気と中性大気の相互作用の観測に焦点をあて、色素レーダーを用いたCa+イオンを計測する可搬型のライダーの整備を進め、前年度導入したコンテナラボをプラットフォーム化して試験調整を行った。また固体レーザーの開発もめ、多種の組成が観測可能な波長可変レーザーの性能を確認した。 3)拠点観測の実施 開発したプラットフォームを京都大学の信楽MU観測所に移動させ、拠点観測を開始した。Ca+イオンの観測を行い、100km以上の高高度からの散乱信号を得ることに成功した。次年度のスポラディックE層の多発する夏期の観測に向けて調整を進めた。 以上のように本課題は新しい複合観測に向け着実に進展している。
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