研究課題
本研究は、申請者のグループが月周回軌道で観測運用を行った「かぐや」衛星搭載低エネルギーイオンエネルギー質量分析器による「その場」観測データの解析と、実験室における太陽風を模擬したプロトンビームと月表面を模擬したターゲット物質との相互作用の計測実験を同時に行うことで、太陽風(プラズマ)と惑星(天体)表面との普遍的な相互作用を実験的・観測的に明らかにするための手法を確立すると共に、月周辺プラズマ環境の理解を飛躍的に進めることを目的としている。申請者のグループが開発を担当した「かぐや」搭載低エネルギー粒子計測装置の月周回での運用は、平成21年6月に約1年半にわたる観測を無事完了した。運用期間中においては、海外のグループを含む月大気の地上からの光学観測グループと連携し、月希薄大気(特にアルカリ大気)のグローバルな分布とその場計測データの同時取得を行なった。また同時期に月周回で低エネルギーイオンの計測を行なった中国のChang'E-1、インドのChandrayaan-1との同時観測も行ない、観測完了後はデータの解析を共同で行なうための準備を進めた。本研究において必要となる実験装置として、反射プロトンのフラックスを正確に計測する実験装置と反射プロトンやターゲットから放出されるイオンのエネルギー分布、質量分布を計測する実験装置がある。このうち平成21年度は、反射プロトンのフラックスを正確に計測する実験装置として、月面を模擬するターゲット、ターゲットを保持するためのターゲットホルダー、太陽風を模擬したプロトンビームと反射プロトンビームを定量的に計測するための検出器(セラミックチャンネルトロン)太陽紫外線を模擬する紫外線ランプ(重水素ランプ)などの製作・購入を行ない、平成22年度のデータ取得に向けての準備を行なった。
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