研究課題
本研究は、月周回軌道で観測運用を行った「かぐや」衛星搭載低エネルギーイオンエネルギー質量分析器による「その場」観測データの解析と、実験室における太陽風を模擬したプロトンビームと月表面を模擬したターゲット物質との相互作用の計測実験を同時に行うことで、太陽風(プラズマ)と惑星(天体)表面との普遍的な相互作用を実験的・観測的に明らかにするための手法を確立すると共に、月周辺プラズマ環境の理解を飛躍的に進めることを目的としている。平成23年度は、平成21年度に製作した、太陽風を模擬したイオンビームと太陽光を模擬した紫外光を、月面を模擬するターゲットに様々な方向から照射するための実験装置の検出器部分を予定数搭載し、太陽風を模擬したイオンビームをターゲットに入射してイオン散乱の方向特性を取得した他、平成22年度に製作した、ターゲットの方向を真空チェンバー中で変化させるための回転台を実際に真空中で使用して性能を確認した。実験を開始した直後は、入射イオンビームの径が広すぎたため、複数ある検出器のケースで散乱された成分が同時に検出されてしまうなどの問題が発生したが、イオンビームの径を絞ることで問題を解決することができた。これらの実験と並行して「かぐや」搭載低エネルギー粒子計測装置(MAP-PACE)によって得られた月面における太陽風プロトンの反射/散乱現象についてのデータ解析を月表面-太陽風相互作用という点に重点を置いて進め、太陽風プロトンの反射に関する解析結果を専門誌に出版することができた他、「かぐや」と同時期に月周回で低エネルギーイオンの計測を行なった中国のChang'E-1と共同で月周辺プラズマの解析を進め、解析結果を専門誌に出版することができた。
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Earth Planets and Space
巻: 64 ページ: 83-92
doi:10.5047/eps.2011.07.011