研究概要 |
太古代タンザニア地塊から採取した下部地殻-マントル捕獲岩を対象に,古典的岩石学と先端的地球化学の手法を応用し,下部地殻-リソスフェアマントル断面の多角的復元を行った.特に,安定地塊の「根」(深さ約135~ 145 km)を構成していたざくろ石かんらん岩には成因の異なるいくつかの岩相が存在し,太古代のメルト成分に枯渇したリソスフェアマントルの肥沃化を示す地球化学証拠及び,古原生代の沈み込み帯からの流体が原因と考えられるマントル交代作用を示す地球化学的な証拠が見出された.さらに,下部地殻-リソスフェアマントル断面においてのマントル物質の不均一性と,地殻薄化によると考えられるマントル物質の減圧再結晶・部分溶融など,複数回の地質学的イベントが読み解かれた.
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