本年度は、Fe-Ni硫化鉱物の高圧相平衡実験を開始するため、昨年度末に導入したピストンシリンダー高圧発生装置の立ち上げを重要課題として、以下の項目を実施した。(1)シリンダー冷却系の改造:導入時点では、冷却水がシリンダーに直接触れない仕様で実験を行っていたが、予備実験中に、この仕様では冷却が不十分になる可能性があることが判明した。そこで、シリンダー冷却のための水冷ジャケットを、冷却水が直接シリンダーに触れる仕様に変更した。(2)ピストン加圧用ハンドポンプの改造:実験終了後の減圧時に圧力が急減するのを防ぐため、ピストン加圧用ハンドポンプにバルブを追加して、徐々に減圧できるようにした。(3)圧力校正曲線の決定:1/2インチシリンダー、3/4インチシリンダーの2種類のシリンダーについて、ピストンへの加重と発生圧力との関係を決定した。3/4インチについては、0.8GPa付近での斜方輝石の相転移、1/2インチについては、3GPa付近での石英-コーサイトの相転移を利用した。(4)その他:シリンダー締め付け用ハンドポンプの油漏れ、ピストンの破損など、予想外の不具合が見つかったため、その対応を行った。(5)ICP-MS装置で、フェムト秒レーザーアブレーションにより白金族元素を含む金属標準物質の分析を行った。そして、実験生成物の白金族元素濃度をフェムト秒レーザーアブレーションによって定量分析することを確認した。
|