研究課題/領域番号 |
21340159
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小木曽 哲 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 准教授 (60359172)
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研究分担者 |
平田 岳史 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10251612)
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キーワード | 高圧実験 / マントル / フェムト秒レーザー / ICP-MS / 白金族元素 / 硫化鉱物 / 放射光X線 |
研究概要 |
マントル中での白金族元素と硫化鉱物との関係を明らかにすることを目指して、本年度は、天然のカンラン岩中での白金族元素濃集相の高空間分解能での記載を重点的に行った。 天然のカンラン岩中における硫化鉱物と白金族鉱物の産状を三次元的に明らかにするために、大型放射光施設Spring-8において、放射光X線を用いた結像型X線CTによるカンラン岩の三次元撮像実験と、超高分解能での蛍光X線分析を行った。結像型X線CT実験では、Fe-Ni硫化鉱物と微小な白金族元素含有相が共存しているものが見つかっているカンラン岩について、硫化鉱物周辺を0.5μm程度の空間分解能で三次元撮像を試みたが、白金族元素含有相を撮像することには成功しなかった。これは、白金族元素含有相の大きさが、撮像の空間分解能の2倍程度以下であったために十分なコントラストを得ることができなかったことが原因と思われる。超高分解能蛍光X線分析では、メルトインクルージョン中に含まれる微小な白金族元素含有相(<2μm)を、スポット径300nmのX線で二次元スキャンしながら蛍光X線を検出器で検知し、二次元の元素マップを作成した。その結果、これらの微小な白金族元素含有相中で、複数の白金族元素が1μm以下の空間スケールで異なった場所に濃集していることがわかった。また、白金族元素の分布と、Fe・Ni・Cuの分布との間にある程度の相関があることも明らかとなった。これらの結果は、白金族元素含有相がF6-Ni-Cuを主体とする硫化鉱物であること、これらの硫化鉱物がNiに富む相とCuに富む相に離溶した時に白金族元素の不均質分布が形成されたこと、を示唆している。
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