研究課題
私たちは共同研究者とともに、岩石-水流体の間の臨界終端点の圧力を決定してきた。その結果、臨界終端点は堆積岩-水では75kmで、高Mg安山岩-水では90kmである。これらの深さは火山フロント直下のプレートの深度よりも浅い。つまり、沈み込むプレートの最上部にある堆積岩から放出される水にとむと考えられる流体は超臨界流体になっている。そのような超臨界流体はマントルと反応して高Mg安山岩質のケイ酸塩を溶け込ませる超臨界流体になる。そのようなスラブ由来のケイ酸塩成分を溶かした超臨界流体は、マントルウェッジを上昇する際に臨界終端点を超え、再び水流体とマグマに分離する。私たちは、この分離によってできた2種類の流体が2種類のマグマ系列になりうるとの仮説を持っている。本年度は、この仮説を立証するために、SPring-8(兵庫県)とSOLEIL(フランス)で放射光X線を用いて、それぞれマルチンビル型高圧発生装置と高温型ダイアモンドアンビル装置を用いて、高温高圧条件でのマグマと水流体の間の元素分配を決定する実験を行った。その結果、マグマと水の間の微量成分元素の分配係数に与える『圧力』と『塩濃度』の効果を定性的に理解しつつある。本年度は、上述した(1)放射光蛍光X線その場観察実験と平行して、下記の研究を行った:(2)マントル捕獲岩の採集と、含まれる含二酸化炭素-水包有物に含まれる塩濃度の決定。(3)分子動力学計算によるH2O流体の高温度高圧力条件における水素結合の変化。これらについて論文として公表するべく努めて行きたい。
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Proceedings of the National Academy of Sciences
Coltorti, M., Downes, H., Gregoire, M. and O' Reilly, S.Y.(eds) Petrological Evolution of the European Lithospheric Mantle. Geological Society of London Special Publication
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Bulletin of Volcanology
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