研究課題/領域番号 |
21340160
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
川本 竜彦 京都大学, 理学研究科, 助教 (00303800)
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研究分担者 |
小木曽 哲 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (60359172)
山本 順司 京都大学, 理学研究科, 助教 (60378536)
三宅 亮 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10324609)
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キーワード | マグマ / マントル / 沈み込み帯 / 塩水 / 放射光蛍光X線 / ラマン / 元素分配 / 物質循環 |
研究概要 |
沈み込み帯の水流体の移動とマグマの発生に関して新しい仮説を提案した。私たちの提案する臨界終端点の圧力は、堆積岩-水では75kmで、高Mg安山岩-水では90kmである。これらの深さは火山フロント直下のプレートの深度よりも浅い。つまり、沈み込むプレートの最上部にある堆積岩から放出される水にとむと考えられる流体は超臨界流体になっている。そのような超臨界流体はマントルと反応して高Mg安山岩質のケイ酸塩を溶け込ませる超臨界流体になる。そのようなスラブ由来のケイ酸塩成分を溶かした超臨界流体は、マントルウェッジを上昇する際に臨界終端点を超え、再び水流体とマグマに分離する。昨年度に引き続いて、SPring-8(兵庫県)とSOLEIL(フランス)で放射光X線を用いて、それぞれマルチンビル型高圧発生装置と高温型ダイアモンドアンビル装置を用いて、高温高圧条件でのマグマと水流体の間の元素分配を決定する実験を行った。その結果、マグマと水の間の微量成分元素の分配係数に与える『圧力』と『塩濃度』の効果を定性的に理解した。その結果、島弧マグマにはスラブ由来のメルト成分の特徴と、スラブ由来の水流体成分の特徴を併せ持つ可能性を指摘する。これらが天然のマグマの化学組成とどのような対応関係にあるかは、今後の重要な課題である。この実験的研究と並行して、マントル捕獲岩に含まれる二酸化炭素-水包有物に含まれる塩濃度をラマン分光法と加熱冷却実験により決定した。その結果、(1)島弧マントルには海水と同程度かそれよりも濃い塩水が存在すること、(2)その塩水は炭酸ガスを含むことを示した。島弧マントルからの捕獲岩で塩水を確認し塩濃度を決定したのは本研究が世界で初めてである。
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