本研究は、スターダスト探査機が回収したビルド第2彗星の塵に対して、多段階の分析を行い、彗星に含まれるコンドリュールを特定し、その物質科学的特徴を把握することが研究目標である。今年度は、彗星塵15試料について、以下に示す多段階分析の第1~6段階の分析を行った(ただし第6段階の分析は、選別した2試料のみ)。第1段階:放射光X線を利用した完全非破壊分析(X線回折分析、蛍光X線分析、およびナノスケールCT分析)第2段階:試料を樹脂に包埋。第3段階:塵は樹脂に埋まった状態でマイクロトームを用いた切断。第4段階:塵の薄膜を透過電子顕微鏡により、詳細な鉱物学的観察。第5段階:フィールドエミッション走査電子顕微鏡による観察。第6段階:二次イオン質量分析計を用いた酸素同位体分析。その結果、新たに酸素同位体分析した試料も、これまでと同様に、炭素質コンドライトのコンドリュールと同じ同位体組成を持つことが明らかになった。このうち1試料については、ナノシムスを用いたAl-Mg同位体分析を行い、年代決定を試みた。結果は現在解析中である。
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