研究課題
サンゴの炭酸塩骨格の化学組成は、古気候を推定する間接指標として広く用いられている。しかし、その記録プロセスには生物が介在するため、これまで十分に考慮されてこなかった環境-生物間相互作用に起因する「推定の不安定性」が存在する。本研究では、実験計画法の基準に基づいて管理された環境で現生のサンゴを飼育し、環境と骨格組成を繋ぐ、より正確な関係式を構築する。現在までに、フィリピン3地点、インドネシアSeribu諸島、ミクロネシア、琉球列島石垣島、小笠原諸島父島などから、現生サンゴ骨格の長尺柱状試料を採取した。試料採取地点は、東アジアから東南アジアを経て、インド洋に及び、アジアモンスーン変動およびENSO変動の長期的変動を解析するのに適している。本研究課題では、1950年以前の海洋の水温塩分変動を復元するために、昨年度に引き続き分析未了区間について分析を進め、さらに約2週間の時間分解能を目標に追加分析を実施した。特に、フィリピンより採取された試料を重点的分析、解析した。また、琉球大学瀬底研究施設では、前年に引き続き精密飼育実験を実施した。研究協力者により、パルス変調型(PAM)クロロフィル蛍光測定法による光合成量と、水中骨格重量法による石灰化量の経時変化モニターを実施した。本研究課題で飼育されたサンゴ試料を活用し、Sr/Ca比に加え、Mg/Ca比、U/Ca比等を分析して、特に温度と成長速度への共依存性を解析した。
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Paleoceanography
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doi:10.1029/2011PA002215
Marine Environmental Research
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