研究課題
平成23年度は以下の手順で研究を実施した。研究手順1平成23年度後半に、これまでに達成した周波数387.8GHz・最高出力62kWをさらに更新するため、発振モードの再検討、このモードに適合する電子銃の設計・製作・換装および真空窓の取り替え改造を実施した。平成23年4月以降、この改造管を用いて、新モードの発振確認、発振特性データの取得、このモードが基本波と競合せず2次高調波で単独発振することの実証の順に研究を進めた。その後、運転パラメータの一層の調整・最適化実験を進め、最終的に、周波数388.9GHz・最高出力83kWを得ることに成功した。これは、サブテラヘルツ帯2次高調波発振ジャイロトロンとして、世界最高出力の記録であり、国際会議招待講演にて報告した。研究手順2最終的に協同トムソン散乱(CTS)への適用を目指している核融合科学研究所のLHD装置では、300GHz帯も有望な周波数である。そこで、福井大学遠赤外領域開発研究センターに設置される12Tマグネットを用いた基本波ジャイロトロン開発を進めた。まず、12Tマグネットに適合する発振モードを選択し、電子光学系の検討に基づいて電子銃・共振器等を設計した。この際、実証管として重要な内蔵モードコンバータも設計・製作した。これらをジャイロトロン管として統合・完成した。平成24年度以降、次の展開を目指して研究を推進する。研究手順3サブテラヘルツ帯2次高調波発振ジャイロトロンとしての世界最高出力記録を、速報論文として印刷公表した。さらに、本研究の過程で発見した2次高調波同志のモード競合、2次高調波の単独発振条件、出力飽和の原因、2次高調波と基本波間のモード競合・モード協調現象の知見等を論文にまとめ、国際的に評価の高い学術雑誌に投稿し、本課題を完了した。
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10.1585/pfr.7.1206003