研究課題/領域番号 |
21340171
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岸本 泰明 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (10344441)
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研究分担者 |
加藤 進 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 主任研究員 (20356786)
李 継全 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (00437253)
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キーワード | プラズマ相転移 / 原子・分子過程 / 放電・雷過程 / 相乗的複雑性 / 多階層ダイナミックス |
研究概要 |
平成22年度は、以下の研究を進展させた。 1)EPIC3D(統合化粒子コード)における原子過程のモデル化研究:放電・雷過程を模擬するには、これまでの電子とプラズマ粒子(電子・イオン)に加えて電子・中性粒子間の衝突効果が重要になる。このため、電子・中性粒子衝突過程をEPIC3Dに組み込み、定常電場における定常速度分布関数(Druyvesteyn分布)が再現することを確認した。この過程を取り入れた、圧縮した希ガスの放電シミュレーション研究に着手した。 2)EPIC3Dの並列化の研究:原子過程を取り入れたEPIC3Dによるシミュレーションは、プラズマの粒子種(各価数イオンや電子)が時間的・空間的に大きく変動することから、並列計算時においてCPUに大きな負荷の不均衡が生じる。このため、京都大学学術情報メディアセンターと連携して、媒質の不均一性に対応して負荷分散を適切に行う不等間隔並列化を行い、シミュレーションの高速化を実現した。今後、シミュレーションの進展に従ってCPU数の割り当てを変化させる動的並列化の開発等を進める予定である。 3)EPIC3DによるX線内郭電離プラズマのダイナミックス研究:X線自由電子レーザーによる生体高分子の回折像を高精度で取得するためには、高強度X線を照射する必要があるが、この際、X線が内殻電離過程により吸収されると10keVレベルの高エネルギー電子が発生し、それにより生体高分子が破壊される可能性がある。このため、生体高分子を同サイズのクラスターに見立て、X線レーザーとクラスターとの相互作用シミュレーションを、EPIC3Dを用いて行うことによりこの過程を解析した。この解析から、優位な回折像を得るためのX線レーザー強度を評価した。 4)高精度Vlasovコードの開発:位相空間を連続流体として扱うVlasov方程式の高精度シミュレーションを行うため、マルチモーメント法の一つであるIDO(Interpolated Differential Operator)法を用いたコード開発を行い、エネルギーやエントロピー保存の観点から本手法の有用性を確認した。
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