研究課題/領域番号 |
21340173
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
平田 孝道 東京都市大学, 工学部, 准教授 (80260420)
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研究分担者 |
島谷 祐一 東京都市大学, 工学部, 准教授 (20154263)
畠山 力三 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00108474)
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キーワード | 大気圧プラズマ源 / プラズマ照射 / プラズマ-液相界面 / 細胞増殖 / 成長因子 / 一酸化窒素(NO) / NO合成酵素(NOS) / プラズマ吸入 |
研究概要 |
細胞・組織の活性化に重要な役割を果たしている一酸化窒素(Nitric oxide,NO)に着目し、細胞・組織の再生、並びに心疾患及び呼吸器疾患治療を目的としたプラズマ吸入による実験・評価を行なった。実験に用いた小動物はミニブタであり、ガス麻酔による無意識下状態にて実験を行った。カテーテル型NOセンサを腹部大動脈に挿入した血管造影用カテーテルの端末から直接導入し、プラズマを直接肺に吸入した時の血液中NO濃度の測定を行った。また、血管内圧(血圧)は、カテーテル末端に接続した血圧測定用マイクロ圧力センサにより測定した。さらに、吸入効果の比較・検討を行うため、医療用高濃度NOガスを用いた。血圧測定の結果、Heガス吸入の場合には血圧に変化はなかったが、プラズマ吸入では血圧の降下(最高/最低:110/65mmHg→90/40mmHg)がみられた。比較のために行なった高濃度NOガス吸入においても血圧の降下(最高/最低:125/90mmHg→105/50mmHg)がみられ、一般的に報告されているNOによる血管拡張作用に起因した血圧降下が計測された。さらに、血液中のNO濃度測定においても、NOが検出されたのみならず、血圧降下と同様の時間変化をすることが判明した。ゆえに、プラズマ吸入と高濃度NOガス吸入では、同様の血圧変動がみられたことから、NOに起因した血圧降下であると考えられる。特に、プラズマ吸入における大気中NO濃度が高濃度NOガスに比べて非常に低い(プラズマ:0.5ppm以下、NOガス:10ppm以下)ことから、NOは肺から吸収されたのではなく、肺胞内の肺上皮細胞又は血管内皮細胞で産出された可能性が大きいと考えている。従って、実験にて得られたNOに起因した血管拡張による血圧降下は、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、並びに新生児遷延性肺高血圧などの呼吸器疾患の治療に有効であると考えている。
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