研究概要 |
本研究では、将来の核燃焼プラズマにおけるα粒子とMHD不安定性の相互作用、及びその結果として生ずるα粒子の異常輸送に関わる機構の解明を目指す。ヘリカルプラズマにおける高速イオンとトロイダルアルヴェン固有モード(TAE)に代表される高速イオン励起MHD不安定性との相互作用、並びにその結果生ずる高速イオンの異常輸送について多角度から精査し、将来の核燃焼プラズマにて起こりうる現象の予測に役立てることを目的としている。平成21年度においては、大型ヘリカル装置(LHD)の大半径方向外側に設置されたシンチレータ型損失高速イオンプローブの計測部の高速化を進めた結果、NBI加熱時にTAE周波数と同じ周波数で振動する損失高速イオン束の検出に成功した。その結果から、LHDのNBI加熱時に励起されるTAEは、Co-方向に周回する高速イオンにより励起されていることが推察される。磁気揺動振幅と損失高速イオン束の関係は、対流的と言うよりは、拡散的過程を経て高速イオンが損失する様相を示した。また、TAEの内部構造の詳細な測定を行うべく、多視線Hα光アレイの計測部の高速化を進めた結果、TAEによる電子密度揺動の空間分布情報を引き出すことが出来た。現在シアアルヴェン波を取り扱う理想MHD安定性コードAE3Dから推定されるTAEによる密度揺動との比較を進めている。LHDにおける上記の実験成果に加えて、コンパクトヘリカルシステム(CHS)における当該実験成果を含め、17^<th> International Stellarator/Heliotron Workshop(12-16 October 2009, Princeton, New Jersey, USA)にて、招待講演を行い、会議論文として纏めた。
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