研究課題
本課題では、将来の核燃焼ヘリカルプラズマにおける高エネルギーα粒子とトロイダルアルヴェン固有モード(TAE)に代表される高エネルギー粒子励起MHD不安定性の相互作用、及びその結果として起きる可能性があるα粒子の異常輸送に関わる機構の解明を目的としている。本科研費の支援を基に大型ヘリカル装置(LHD)において大半径方向外側設置のシンチレータ型損失高速イオンプローブ(SLIP)、及びTAEの内部構造の詳細な測定を行うべく多視線高速Hα光アレイ(FHA)の整備・改良を進めてきた。平成23年度は、中性粒子ビーム入射加熱時により励起されたTAE発生時において、SLIP、FHAからそれぞれ得られた損失高速イオン束、TAEに起因する密度揺動空間分布データから高速イオンの異常輸送現象の理解を深めるための解析に注力した。具体的には、幾つかの異なるβ値の配位を対象に、TAEの空間分布や時間的に変動するTAEの振幅を考慮し、1)SLIPに到達する損失高速イオンのエネルギー・ピッチ角、2)損失高速イオン束と磁気揺動振幅の相関、及び3)同相関の磁気軸位置依存性データの再現を試みた。その結果、以上の3項目において、コード計算は実験結果と良い一致を示した。このことは、将来の核融合炉におけるα粒子の振る舞いを予測する上で、意義深い結果であると言える。本内容については、2011年9月に米国テキサス州オースチンで開催された磁場閉じ込めシステムにおける高速粒子に関する第12回IAEA技術会合にて口頭発表を行った。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)
Plasma and Fusion Research
巻: 6 ページ: "2042107-1"-"2042107-4"
10.1088/0741-3335/53/2/024008
Plasma Physics and Controlled Fusion
巻: 53 ページ: 024008