研究課題
より高速に多電子系ダイナミクスを評価するために、開発していた多配置時間依存ハートリー-フォック法を改良した。波動関数を空間の格子点における振幅で表すグリッド法において、ビリアル定理を満たすように微分を9次の高次差分で表し、数値計算の精度を大きく改善した。また、プログラムの高速化や並列化を図った。近赤外パルスと相互作用するH_2やN_2分子において、瞬間的な自然軌道φ_j(t)の軌道エネルギーε_j(t)とレーザー電場から直接得られるエネルギーS_j(t)を定義し、軌道間のエネルギーの交換を定量化した。その結果、最もイオン化に寄与する分子軌道が同定でき、近赤外領域におけるイオン化においても、励起状態が大きな役割を演じていることを明らかにした。また、光による反応制御の機構解明を目的とし、強レーザー場によって誘起される初期振動ダイナミクスを時間依存断熱状態法に基づいた第一原理的分子動力学計算により求めた。C_<60>フラーレンではパルス列を使うことによって特定の振動モードを選択的に励起できることを示した。分子振動の半周期がパルス長と同じになるようなラマン活性のモードが選択的に励起され、パルス間の間隔が分子振動周期と同期すればさらにその振幅が増幅される。どのような振動モードが励起されるかを実験的に明らかにするため、プローブパルスによる高次高調波発生を利用することを提案した。振動励起後から解離に至る長時間ダイナミクスには、精度を保ちつつも計算コストを大幅に軽減する密度汎関数緊密結合法を用いた。初期励起のエネルギーが数ps程度で他のモードに流入し、その後nsの時間スケールで解離につながるStone-Wales転位を起こすことを明らかにした。
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