研究課題/領域番号 |
21350006
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高岡 毅 東北大学, 多元物質科学研究所, 講師 (90261479)
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研究分担者 |
米田 忠弘 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30312234)
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キーワード | 摩擦 / 固体表面 / 走査型トンネル顕微鏡 / ステップ / 一酸化窒素 / 白金 / 超音速分子線 |
研究概要 |
表面上の分子に働く摩擦である"分子摩擦"は、分子の吸着過程や拡散過程のメカニズムと密接に関係しており、学術的に非常に重要である。さらに吸着過程や拡散過程の関わる様々な応用分野、とくにボトムアップ的な手法を用いるナノテクノロジー分野において今後ますます重要となってくる物性である。しかし、まだほとんど研究がなされていない。そこで、本研究では、超音速分子線装置と走査型トンネル顕微鏡を組み合わせた新しい研究手法を様々な系に適用することによって分子摩擦のメカニズムの解明を行い、さらにその制御を行うこと目的として研究を進めている。 平成23年度も、引き続き単結晶白金表面に吸着したNOの摩擦を測定するための、NOの表面移動を明らかにするための実験を行った。白金表面における酌の表面移動は、触媒反応とも関係する過程であるが、特に白金表面上のステップと呼ばれる段差部分近傍のNOの移動が注目されている。本研究では、ステップの上側にNOが吸着した白金表面に、運動エネルギーを制御した希ガス原子を照射すると、NOがステップの上側から下側に移動することを明らかにした。さらに、今度は逆に、ステップの下側にNOが吸着した白金表面に、希ガス原子を照射すると、NOがステップの下側から上側に移動することを明らかにした。このことから、ステップ近傍に吸着したNOに希ガス原子を照射することによって、NOの吸着位置やその移動方向を制御することを明らかにすることができた。この研究成果を踏まえ、さらにNO分子の動きを詳細に調べるために、実空間での分子移動を検出する事の出来る走査型トンネル顕微鏡の開発を行った。走査型トンネル顕微鏡は、振動の影響を受けやすいため、超音速分子線装置で使用している真空ポンプからの振動を軽減するための工夫を行った。この技術を用いてさらに分子移動のメカニズムを明らかにするための実験を行っていきたい。
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