研究概要 |
本年度に予定した目標はモット検出器の較正のために,偏極電子線源を完成させる事であった. 超高真空チャンバーを完成し,ターゲットであるGaAs結晶の表面清浄化法に習熟した.GaAsの清浄表面を保つためにはマイナス8乗パスカル程度の真空度が必要であるが,現状では8乗にやっと入った程度で更なる向上が必要と思われる.光電子放出のための870nmの半導体レーザーを用意し,波長板により円偏光に変換することができて、偏光度の測定を行い,円偏光であることを確認した.GaAs表面を活性化し負の電子親和度を得るため,セシウムを照射する.そのための蒸発源も整備された.以上により偏極電子の発生は射程内に入ってきたと言える. またフィラメントによる熱電子線を用いて電子レンズおよび偏向器の調整もすませている.来年度は最終年度であるから,この偏極電子線源を使ってモット検出器の調整と較正を行い,磁性体表面へ多価イオンを照射した時の放出2次電子のスピン解析へと進む予定である.
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