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2011 年度 実績報告書

タンパク質・溶媒場における化学反応の自由エネルギー面

研究課題

研究課題/領域番号 21350010
研究機関京都大学

研究代表者

山本 武志  京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (30397583)

キーワード化学反応 / 量子化学 / 統計力学 / 自由エネルギー / 溶媒効果 / 溶液反応 / タンパク質 / QM/MM
研究概要

酵素反応をはじめとする生体内反応や溶液内での化学反応の機構とダイナミクスを解明することは、現在の理論化学研究の最も重要な課題の一つである。これら凝集系における化学反応を取り扱うには、反応場としての溶媒やタンパク質の熱揺らぎについて統計平均を取った自由エネルギー曲面に基づく解析が不可欠である。本年度は、これまで開発してきた平均場QM/MM自由エネルギー法のさらなる技術的改良と応用研究を進めた。平均場QM/MM自由エネルギー法は、反応系の電子状態とMM環境の作る平均場をセルフコンシステントに解くことで自由エネルギーを精度良く計算するための方法である。本年度はまず、溶媒などのMM環境が電子分極可能な場合に反応の自由エネルギーがどのような影響を受けるかについて系統的に調べた(JCP,2012)。その結果、有機溶媒や低誘電率環境(特にタンパク質)では電子分極の効果が凝縮相中での反応障壁を大きく変えうる事を明らかにした。次に、計算をより安定かつ精度良く行えるようにするため、反応系の電子密度をダイレクトに取り扱う方法(JCTC,2013)やスクリーンされた電荷モデルを用いる方法(CPL,2012)を開発し、これまで難しかった系について実験と良い一致が得られる事を示した。次に、ユビキノールとビタミンEの関与する抗酸化反応を3D-RISM-SCF法によって調べ、4000倍を超える非常に大きなトンネル効果があることや、ドナー・アクセプター間のバインディングが活性化エネルギーをほぼゼロに下げるために重要な役割を担っている事を明らかにした(投稿準備中)。これは、生体膜中の抗酸化反応において水素のトンネル効果が重要な役割を担っていることを示唆している。また、溶液中塩基分子(チミン)の円錐交差を経由する電子緩和メカニズムを解析し、気相中・溶液中で異なる緩和経路が関与している事などを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
理由

24年度が最終年度であるため、記入しない。

今後の研究の推進方策

24年度が最終年度であるため、記入しない。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Accurate and efficient treatment of continuous solute charge density in the mean-field QM/MM free energy calculation2013

    • 著者名/発表者名
      Hiroshi Nakano
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Theory and Computation

      巻: 9 ページ: 188-203

    • DOI

      10.1021/ct300831t

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Including charge penetration effects into the ESP derived partial charge operator2012

    • 著者名/発表者名
      H. Nakano, T. Yamamoto
    • 雑誌名

      Chemical. Physics. Letters

      巻: 546 ページ: 80-85

    • DOI

      doi:org/10.1016/j.cplett.2012.07.046

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Variational calculation of quantum mechanical/molecular mechanical free energy with electronic polarization of solvent2012

    • 著者名/発表者名
      H. Nakano, T. Yamamoto
    • 雑誌名

      The Journal of Chemical Physics

      巻: 136 ページ: 134107

    • DOI

      doi:10.1063/1.3699234

    • 査読あり
  • [学会発表] 平均場QM/MM法による溶液・酵素反応の自由エネルギー計算2012

    • 著者名/発表者名
      中農浩史
    • 学会等名
      溶液化学シンポジウム
    • 発表場所
      早稲田大学
    • 年月日
      20121112-20121114
  • [学会発表] MF-QM/MM法による化学反応の自由エネルギー計算と溶液・酵素反応への応用2012

    • 著者名/発表者名
      山本武志
    • 学会等名
      分子科学討論会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20120918-20120921
  • [学会発表] QM/MM計算における波動関数の統計揺らぎの効果と平均場近似の妥当性の検証2012

    • 著者名/発表者名
      中農浩史
    • 学会等名
      分子科学討論会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20120918-20120921
  • [学会発表] 溶液内水素移動反応のトンネリング効果:ユビキノール-ビタミンEの抗酸化反応2012

    • 著者名/発表者名
      稲垣泰一
    • 学会等名
      分子科学討論会
    • 発表場所
      東京大学
    • 年月日
      20120918-20120921

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公開日: 2014-07-24  

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