研究概要 |
本年度はアリルチタノセン、四、五員環チタナサイクルの反応性について検討し、以下の成果を得た。 1. アリルチタノセンの反応による第三級anti-ホモアリルアルコールの合成-α位にベンジルジメチルシリル基を持つアリルスルフィドとカルボニル化合物の反応により、anti-(E)体のδ-シリルホモアリルアルコールが完全に位置および立体選択的に、また高ジアステレオ選択的に得られた。生成物であるホモアリルアルコールはパラジウム(0)により触媒される、または銅(II)塩により促進される有機ハロゲン化物とのカップリング反応により多置換ホモアリルアルコールに変換することができた。アリルチタノセンと環状エノンとの反応のジアステレオ選択性がアリルチタノセンの置換基とエノンの館員数に依存することを明らかにした。2.14族元素を含むチタナシクロブタンの合成と反応性の解明-フェニルチオメチル基が二個あるいは四個置換したシランおよびゲルマンに二価チタノセンを作用させることにより、14族元素を含むチタナシクロブタンが得られた。重水素との反応の結果から、これらチタナサイクルがジアニオン等価体としての反応性を持つことが確認された。3.チタナシクロペンテンを経由する不飽和化合物の立体選択的合成-(Z)-アルケニルスルホン、ヘテロ原子置換アレン、二価チタノセンの[2+2+1]付加環化で生成したチタナシクロペンテンからのβ脱離と加水分解により、(E,Z)-体のジエニルアミンおよびジエニルホスホナートが立体選択的に生成した。4.チタナシクロブテンを経由するジエニルシラン類の合成-チタンシリルメチリデン錯体とアルキンの反応によるチタナシクロブテンの生成とそのβ脱離によりジエニルシランが立体選択的に生成した。アルキンとしてシリルアセチレン誘導体を用いた場合には高い位置選択性が発現した。
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