研究課題
スフェランドは、現在知られているLi^+に対する包接能を有する化合物中、最大の錯形成力を持ち、かつ包接したLi^+をメトキシ基が完全に覆い隠すため、強制的にアニオンとカチオンを引き離すことが可能である。この特徴を利用すれば、反応性が高い不安定なアニオン種を裸の状態で発生させることができると考えられる。スフェランドの既存の合成法は、収率と再現性が低かったため、研究開始当初に、まずスフェランドの新規合成法の開発を行なった。その結果、全収率は改善できたが、スフェランドは有機溶媒への溶解度が極端に低いために反応に用いることが困難であるという問題が判明した。そこで有機溶媒への溶解度の向上を目指して、t-ブチル基およびシクロヘキシル基(Cy)を有するスフェランドを合成した。シクロヘキシル基(Cy)を有するスフェランドは、Licl錯体をブロモシクロヘキサンから5段階、全収率20%で合成した後、脱メチル化し、再度メチル化することで7段階、全収率16%で目的のスフェランドを合成できた。様々な超原子価アニオン錯体の合成を検討したが、ペンタメチルスズアート錯体の室温での^<119>Sn NMR観測に成功した。目的のスフェランドによるアニオンの安定化に成功したといえるが、できれば結晶を単離して構造解析を行っていきたいと考えている。
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