研究課題
これまでに、Cramの開発したスフェランドの有機溶媒への溶解度の低さを改善するために、パラ位置換基をメチル基から、tertブチル基、シクロヘキシル基など様々な炭素置換基へ変更する検討を行ってきた。それぞれの置換基系について、ざまざまな合成上の困難に遭遇したが、一つづつ解決してきた。その結果、tertブチル基やシクロヘキシル基を持つスフェランドの新規合成に成功した。特に、シクロヘキシル基を持つスフェランド系については、まずまずの有機溶媒への溶解度を示すことがわかり、これまで反応中間体として、低温でのみ観測されていた5配位スズアート錯体が室温でも安定に存在することを見いだした。しかし、シクロヘキシル基を持つスフェランド系でも、やはりまだ低温での溶解度は低く、リチウムカチオンの取り込み速度が極めて遅いこともわかった。そのため、スズ以外の反応中間体の安定化には成功していない。そこで、今年度は、新たな考え方でアルキルエーテル置換基系の開発を行ってきた。全く別の系ではあるが、アルキルエーテル置換基系の方が、アルキル置換基系よりも有機溶媒への溶解度が向上するという報告もあり、さらなる溶解度の向上を期待した展開である。アルキルエーテル置換基系の完全には純粋なスフェランド合成にはまだ成功していないが、途中の化合物は合成できている。また、純粋ではないものの新規スフェランドも得ることは出来ている。それらの化合物の有機溶媒への溶解度は、期待通り確実に向上していることもわかった。
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