ターチオフェン修飾パラジウムナノクラスター(1-Pd:約2.7nm)を合成し、細孔径約200nmのポーラスアルミナをテンプレートとして、パラジウムナノクラスターの電解重合を行い、パラジウムナノクラスター-ポリマーナノチューブ複合体(1-Pd-PT-NTs)を合成した。その後、ポーラスアルミナを水酸化ナトリウム水溶液で溶解し、得られたサンプルを走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察した。その結果、直径約200nmで極めて直径の分布幅の狭いポリマーナノチューブの生成が確認できた。そこで、得られたポリマーナノチューブの構成元素を調べるために、エネルギー分散型X線分析(EDX)を行ったところ、パラジウムナノクラスターの構成元素に対応する元素の存在が確認できた。次に、1-Pd-PT-NTsのTEM観察を行ったところ、膜厚は約45nmであり、ナノチューブは均一な膜厚および内部空間を有することが明らかとなった。一方、Pdナノクラスター(1-Pd)を用いてmethyl-2-iodobenzoateと2-(tributylstannyl)thiopheneとのStilieカップリング反応を加熱下行ったところ、Pdブラックが析出した。しかし、非常に興味あることに、ポリチオフェンナノチューブ複合体(1-Pd-PT-NTs)を同様の反応に用いたところ、Pdブラックは析出せず、定量的にカップリング生成物を与えると共に、1-Pd-PT-NTsがリサイクル可能なナノ触媒として機能することが分かった。また、加熱反応後、回収したナノチューブ1-Pd-PT-NTsについてTEM観察したが、チューブ形状に変化は無く、耐熱性ハイブリッドナノチューブであることが判明した。
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