研究課題
直径100nm以下の金属の粒子(金属ナノ粒子)はバルクとは異なるエネルギー状態にあり、通常では存在しない構造を常温常圧でとることがある。これは、サイズ減少により増大した表面エネルギーによる系の不安定化と電子状態・構造の安定性とのバランスの変化により、バルク状態にはない平衡状態が実現されるためである。本申請研究では、ナノメートルサイズの金属が持つ大きな構造の自由度に着目し、ナノ界面における新規フラストレーション相(ナノフラストレーション界面)の創出を目的とする。これまでの研究により、直径数十ナノメートル程度のhcp型Niナノ粒子は200℃において水素圧力下においてhcp構造からfcc構造へ変化することが明らかとなった。直径が十ナノメートル以下の微小なNiナノ粒子は大きな構造自由度を持つことから、その構造変換の形式も異なるものと考えられる。そこで、シングルナノメートルのfccおよびhcp型のニッケルナノ粒子について、水素圧力印加による構造変化を調べた。作製したfcc-Niナノ粒子はバルクよりも結晶性が悪く、加熱処理でも構造は変化しないが、0.1MPaの水素を印可することで、結晶性が向上することが明らかとなった。一方、hcp-Niナノ粒子については水素ガスとの相互作用を示す結果を得ることは出来なかった。以上の結果より、サイズによって水素との相互作用が変化することが示唆される。さらに、液相化学還元法により、Ruを90atom%含む、RuFe,RuCo,RuNiナノ合金の作製を行った。合成はポリオール法によって無機水素化物を還元剤として加えることで、Ruおよび他の金属の同時還元を試みた。TEM観測により得られた試料は全て2nm前後の粒子であることがわかった。今後、作製した試料の構造と物性について詳しく調べるつもりである。
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Materials Science and Engineering B
巻: 173 ページ: 253-259
Journal of American Chemical Society
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