研究概要 |
直径100nm以下の金属の粒子(金属ナノ粒子)はバルクとは異なるエネルギー状態にあり、通常では存在しない構造を常温常圧でとることがある。これは、サイズ減少により増大した表面エネルギーによる系の不安定化と電子状態・構造の安定性とのバランスの変化により、バルク状態にはない平衡状態が実現されるためである。本申請研究では、ナノメートルサイズの金属が持つ大きな構造の自由度に着目し、ナノ界面における新規フラストレーション相(ナノフラストレーション界面)の創出を目的とする。 本年度は、Ru合金を基盤とするコア・シェルナノ界面の構築を開始した。コアにはRuとCoの合金を、シェルを形成する金属としてはPtを選択した。これは、PtはNiと同様にRuやCoと異なりfcc構造をとるが、大きな格子定数を持ち、コアとシェルを区別して観測するのに適しているためである。合成は、RuとCoを同時に還元するためにポリオール法と水素化ホウ素ナトリウム(NaBH_4)法を併用した。RuとCoを含むポリオール溶液を作製した。この溶液を加熱した後、NaBH_4水溶液を加えRu-Co合金ナノ粒子を作製した。冷却したRu-Coナノ合金溶液にPt水溶液を加えて撹拌した。更に混合溶液を加熱することで合金ナノ粒子上へのPtの析出を試みた。作製した粒子は再沈法により洗浄をおこなった。また、参照試料としてRu/Pt,Ru-Co-Ptナノ合金を作製した。作製したRu-Coコア-Ptシェルナノ合金の粉末XRDパターンはRu-Co_PtおよびRu/Ptナノ合金とは異っており、本法によりRu-Coコア・Ptシェル構造のナノ合金が作製されたことが明らかとなった。今後、Ru-Coコア・Niシェルナノ合金の構築を試みるつもりである。
|