研究概要 |
神経可塑性と細胞外グルタミン酸放出量の関係を定量的に示すことを目的に、化学的にLTPを引き起こすとされている塩化テトラエチルアンモニウム(TEA)刺激によって放出される細胞外L-グルタミン酸濃度を各神経領野について計測した。その結果、細胞外グルタミン酸濃度の序列はCA1~CA3>DGであることを明らかにした[Anal.Sci.(2009)]。また,興奮性シナプス後電位(EPSP)とグルタミン酸放出を同時に記録することを行い,EPSPと放出されるグルタミン酸の"濃度"との相関を領野CA1について検討した。その結果、長期増強現象が起こると細胞外グルタミン酸濃度が増加することを初めて示した(投稿準備中)。これらの結果は、神経伝達物質を実際に測定したものであり、神経伝達機構の解明に寄与すると期待される。さらに、ペプチドを網羅的に分析することが可能、かつ再利用がデきるアレイ型リポソームセンシング法を構築した。本アレイによりナノグラムレベルの成長ホルモン関連ペプチドの同時蛍光アッセイが可能である(Anal.Bioanal.Chem.in press)。このほかメソポーラスマテリアルMCM-41を包埋した平面脂質二分子膜界面で、MCM-41ナノ細孔に封入した脂質にレセプターをその場で化学修飾することに成功した(日本化学会第90年会口頭発表)。これらの成果は、ナノレベルでの分子設計を基板として新規物質検知法を提案したものである。さらなる高感度化を目指すことによって汎用的な分析法として展開できる可能性が拓けた。
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