研究課題/領域番号 |
21350047
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
原田 誠 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教 (60313326)
|
研究分担者 |
永谷 広久 金沢大学, 理工研究域物質化学系, 准教授 (90346297)
瀧上 隆智 九州大学, 研究院・理学研究所, 准教授 (40271100)
|
キーワード | 液液界面 / 全反射 / XAFS / 反射率 / 界面吸着 / 偏光X線解析 |
研究概要 |
液液界面は界面の上下を性質の大きく異なるお互いに混じり合わない溶液によって構成される。この二次元空間である液液界面はその特異な性質から界面活性剤などによる機能性単分子膜の反応場として、また分離計測の反応場として用いられることが多い。例えばベシクルやエマルション、生体膜などは界面の機能や構造の高度な利用の一例である。また、電位規制された液液界面、例えば電気化学的に分極された液液界面で起こる電荷移動反応や界面膜に対する吸着構造を解明することはその吸着過程を知る上で重要である。本研究では液液界面の構造に着目し、シンクロトロン放射光による指向性の高いX線を利用し、液液界面で全反射させることによって界面での構造情報をXAFS法やGIXD法によって測定することを目的としている。 本年度はSPring-8を利用して、水と2-オクタノンからなる液液界面において、水相に臭化ナトリウムおよびカチオン性界面活性剤を添加し、四電極型ポテンシオスタットで界面電位差を制御して界面の電位規制を行いながら全反射蛍光XAFS測定を行い、印加する電位によって液液界面の吸着がどのように変化するのか検討を行った。また、ヘキサンと水の液液界面にフルオロドデカノールを展開し、IH-ペルフルオロデカンが混合物として存在するときにHFCIOの界面での濃度がヘキサン溶液中に比べ低くなる"負吸着"現象について反射率、GIXD法によって測定し、界面での膜構造の解明を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では放射光施設の光源に依存するところが大きく、光源の調整の出来不出来で測定が順調に行うことができるかどうかが決まる。本研究の測定はかなりシビアな設定条件が必要であり、これら光学系の調整に測定する時間を取られてしまい、十分な時間を掛けられないことが多かったためである。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに行った実験で、測定装置自体はほぼ完成を見ている。本年度は良好なスペクトルを得られるように、シンクロトロン放射光施設でのX線の調整に時間を掛ける。XAFS測定で利用しているSpring-8のビームラインBL39XUは狭い範囲に高い輝度を得られるので、液液界面での測定に適しているものの、X線のエネルギー掃引時にX線強度が変動する傾向がある。安定したX線を得られるように、Spring-8スタッフに協力を仰ぎながら光学系の調整に力を入れ、チャンピオンデータを目指す。
|