研究概要 |
本研究は、アルキルベンゼン類の安定なベンジル位炭素-水素結合の直接的かつ触媒的なホウ素化反応による簡便でクリーンかつ経済的なベンジル型ホウ素化合物の合成法を確立するとともに、得られたベンジル型ホウ素化合物の鈴木・宮浦カップリングあるいはα,β-不飽和カルボニル化合物への1,4-付加などへの利用による効率的な炭素-炭素結合形成法ならびに新規な触媒的ベンジル化反応の開発を目的としている。 1.反応条件(石山担当):基質としてアルキルベンゼン類を用いる場合には、活性化が可能な結合としてベンジル炭素-水素結合のほかに芳香族炭素-水素結合も存在する。芳香族炭素-水素結合のホウ素化を抑え、ベンジル位炭素-水素結合のホウ素化を選択的に行うための反応条件(触媒前駆体、配位子、溶媒、添加物、温度など)を精査した。その結果、Pd/C触媒の存在下基質を溶媒として用いることにより100℃で進行し、対応するベンジル型ホウ素化合物を収率良く与えることを見出した。 2.ホウ素化剤(石山担当):反応を精査した結果、ジボロンにおいては、二つのホウ素基が利用可能であった。また、ヒドロボランとしてピナコールボランが同様の反応条件下利用可能であることもわかった。 3.基質の適用範囲と選択性(山本担当):基質として様々な置換基を有するアルキルベンゼンのホウ素化について検討を行った。官能基を持たない基質では収率良くベンジル型ホウ素化合物が得られるが、基質に酸素あるいはフッ素などのヘテロ原子が存在する場合には反応性が著しく低下した。
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