研究課題
フラボノイド系ポリフェノールは、植物中に多く含まれる成分のひとつであるが、これらは容易に構造変化を受けやすく、一般に分離困難な類縁化合物の混合物としてしか得られないため、純粋な個々の化合物の化学的性質が調べられた例はほとんどない。しかし最近、一部のカテキンオリゴマーに顕著な抗腫瘍性が示されていることから、これらには未知の有用な生理活性の発見が期待される。したがって、天然から得ることの難しい各種カテキン類縁体を合成により供給することができれば、この領域のさらなる進展に大きく寄与できる。本研究では、カテキンモノマーならびにカテキンオリゴマーの一般的な合成法の開発を目指し研究を行った。その結果、カテキンモノマーの合成に関し、トリフルオロベンゼンを出発物質とするあらたな効率合成法を開発することに成功した。これにより、立体化学および酸素官能基の置換位置や数の異なる様々な異性体を自在に作り分けることが可能となった。さらに、高次のカテキンオリゴマーの合成検討を進めた結果、従来にない効率的な選択的合成法を開発することができた。実際にこれらの方法を駆使し、直鎖型カテキンオリゴマー(24量体)や、カテキン、エピガロカテキンおよびエピアフゼレキンから構成されるヘテロオリゴマー(3量体)、および異常結合型ダイマーの選択的合成にはじめて成功した。
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