研究概要 |
本課題は、従来触媒による配位重合では合成不可能な新しいオレフィン系ポリマーの精密合成を可能とする、高性能チタン錯体触媒の設計・創製に関する。特に平成23年度は、今迄の成果を基盤に、高性能分子触媒の新しい触媒設計指針の確立を主目的に取り組み、以下の成果を得た。 各種アニオン性支持配位子を有するハーフメタロセン型のチタン錯体の合成・同定と触媒機能に関する研究に取り組んだ。特に配位子上の置換基の異なるイミダゾリン-イミナト及びイミダゾリジン-イミナト配位チタン錯体の合成・同定と各種オレフィン重合に取り組み、配位子上の置換基の修飾により、エチレンとスチレンとのリビング共重合や、非常に高い触媒活性でエチレンとαオレフィンとの共重合を進行可能とする高性能触媒の創製に成功した。より詳細な知見を確立する目的で、シクロペンタジエニル配位子上の置換基の異なる錯体を合成・同定し、各種エチレン共重合を検討して、活性やオレフィンの反応性への配位子効果に関する知見を確立している途上である。 エチレンとスチレンとの共重合ではイミダゾリン-2-イミナト配位錯体が有効で、イミダゾリジン-イミナト配位錯体では、共重合体を優先的に得られなかった。 アニオン性のキレート多座配位子[tris(aryloxo)amine,bis(ayloxo)(alkoxo)amine配位子]を有する各種フェノキシ配位チタン錯体を合成・同定した。同錯体触媒による(MAO助触媒存在下での)エチレン重合における触媒活性は、フェノキシ配位子上の置換基による影響を大きく受けた。またこの重合におけるAlMe3の添加効果及び同錯体と有機Al化合物との反応結果との関連を追及し、反応で得られる2核錯体の安定性が高活性の発現に重要となることを明らかにした。(近日投稿予定)
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