研究課題/領域番号 |
21350056
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
垣内 史敏 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (70252591)
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研究分担者 |
河内 卓彌 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (70396779)
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キーワード | π共役芳香族 / 炭素-水素結合切断 / 炭素-酸素結合切断 / 遷移金属触媒 / ポリアセン類 / ビアリール化合物 / 遷移金属錯体触媒 / 炭素-炭素結合生成 |
研究概要 |
平成23年度は、芳香族ケトン類の炭素-水素結合の直接アリール化とアセチル基の変換を利用して、縮合多環式炭化水素の短工程合成法の開発を目指して検討を行った。特に、ジアセチルベンゼン類とアリールホウ酸エステルとのクロスカップリング反応で得られるオリゴアレーンを選択的かつ高収率で合成し、それら生成物中のアセチル基をエチニル基に変換したのち、分子内環化を利用して縮合環の構築を行う方法の開発を中心に検討した。その結果、以前に合成法を確立した直線的な縮合多環式炭化水素だけでなく、折れ曲がった構造をもつジベンゾアントラセンやピセン類の合成を短工程で達成できるようになった。開発した方法を利用することにより、ヘテロ芳香環骨格をもつ化合物の合成や様々な置換基をもつジベンゾアントラセンやピセン類を合成することが可能となった。 合成した化合物は、ベンゼン環が5つ以上連続した構造をもつにも関わらず、空気、光、熱に安定な化合物であった。生成物の紫外・可視スペクトルやサイクリックボルタンメトリを測定することにより、それら化合物がもつHOMO-LUMOギャップを測定し、有機電子材料への利用が可能であるか評価を行った。また、物性の評価のしやすさや化合物の安定性を考慮して、合成した化合物のいくつかを用いて有機電子材料としての物性を評価した。合成した化合物をスピンコート法により櫛形電極へ塗布した素子を作成し、それらのP型有機電界効果トランジスタ特性を測定した。様々な測定条件下でも生成物は安定であったが、有機電解効果トランジスタとして利用するために必要な、十分に高い電荷移動度をもつ化合物の合成には至らなかったが、本合成法で合成した化合物が有機電界効果トランジスタ特性をもつことを明らかにした。
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