研究概要 |
様々なアニオン種の定性、定量分析の必要性が医療や環境測定を含むあらゆる領域で高まっている。従って、高感度アニオンセンサーの開発が近年活発に検討されているが、これらは有機溶媒中での使用にとどまっており、水中アニオン種の選択的かつ高感度検出システムの開発が強く求められている。本研究では水中アニオン種の定性、定量分析を可能とするポリマーベースの超高感度アニオンセンサーを開発することを目的としている。当該年度は、様々なレセプター部位を有するポリマーの合成とアニオン認識能や光学活性識別能の評価を行った。 アミノ酸にL-アラニン、L-ロイシン、L-イソロイシン、L-バリン、L-フェニルアラニン、L-グルタミン酸を用い、ウレア基、アミド基、スルホンアミド基などのアニオン認識部位を側鎖に有するフェニルアセチレンモノマーを合成し得られたポリマーのTHF溶液を任意の基板上にキャスト、乾燥後、センサーフィルムを作成する。様々なアニオン種を含む水溶液をセンサー上に接触させ、色調変化を評価し、センサーフィルムの色調変化の定量的評価した。その結果、一部のアニオンに対して色調の変化が観察されたが、彩度の面で更なる改良が必要であることが判った。さらに、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルがウレア結合を介して結合したポリフェニルアセチレン誘導体は種々のアミノ酸を不斉識別することを見出し、新たなアミノ酸不斉識別システムとして応用できることが明らかとなった。
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