研究課題
ポリスチレン(PS)-シスポリイソプレン(PI)-ポリスチレン(PS)トリブロック共重合体、および、この共重合体と種々の分子量のホモポリイソプレン(hPI)-をブレンドした系について、PSがガラス状となる室温付近で誘電測定を行った。PI,hPIは主鎖に平行な双極子を有するので、その末端間の揺らぎが誘電活性となる。共重合体系、ブレンド系ともに、球状のPIドメインを形成していることが小角X線散乱測定、電子顕微鏡観察で確認された。共重合体バルク系については、PIブロックの両端がガラス状のPSマトリクスに固定されているため、このブロックの末端間揺らぎは発生せず、誘電緩和は観察されなかった。一方、ブレンド系では、PIドメイン中に混合されたhPIゲスト鎖の末端間揺らぎが誘電緩和として観察された。この緩和に対応する誘電損失ε"は低周波数域においてベキ乗型の周波数(ω)依存性を示し、終端挙動(ε"∝ω)は観察されなかった。この結果は、PIドメイン中のhPIゲスト鎖の大規模運動が、バルクhPI系に比べて遅延されていることを示す。さらに、非絡み合い域から絡み合い域をカバーする分子量域において、このベキ乗型の遅延の程度が分子量に依存しないことが見出された。この結果は、遅延をもたらすPIドメイン内の熱力学的拘束は絡み合いとは無関係であり、この拘束が鎖運動に与える影響が空間スケールに対して自己相似的であることを示唆する。この自己相似性についての新知見は、ブロック共重合体のダイナミクスの理解を一段と進展させるものである。
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