研究概要 |
我々はこれまでカリックス[5]アレーンとフラーレンの包接現象やポルフィリンの自己相補的会合を駆動力に超分子ポリマーの開発を行ってきた。これらに高次のらせんキラリティーを付与するため新たなキラルホスト分子やゲスト分子を合成し,これらの会合により超分子ポリマーを開発した結果について報告する。 ポルフィリンを四つ連結したテトラキスポルフィリンを合成し,この化合物の超分子形成を駆動力とした超分子ポリマーを合成した。この分子は14kcal/molと非常に高い会合力で重合し,ポリマーを与えた。また,原子間力顕微鏡から,ポリマーの集積構造に由来するらせん構造が形成していた。 また,ホモジトピックなキラルカリックスアレーンホスト分子も合成しており,ダンベルフラーレンとこのホストの集積化により,超分子フラーレンポリマーが生成することがわかった。原子間力顕微鏡測定からホスト分子のらせん構造が誘起したと思われる超分子らせんポリマーの生成が示唆されている。 フラーレンを含むポリマーの超分子架橋を利用したポリマーの配列制御にも成功している。ポリアセチレンにフラーレンをグラフトしたポリマーにカリックスアレーンホスト分子を作用させると配向制御された超分子配列構造が生成することを見いだした。溶液中で非共有結合により架橋したにもかかわらず,ポリマーの分子量の増加が確認された、原子間力顕微鏡から,ポリマーは凝集したナノ粒子を形成した。これにホスト分子を添加すると,ポリマーのらせんが配列することで高度なポリマーの配列構造が形成されていることが明らかになった。
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