研究課題/領域番号 |
21350068
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
遠藤 剛 近畿大学, 分子工学研究所, 教授 (40016738)
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研究分担者 |
須藤 篤 近畿大学, 分子工学研究所, 准教授 (20293053)
森野 一英 近畿大学, 分子工学研究所, 講師 (00362286)
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キーワード | 高分子合成 / 隣接トリカルボニル / 水和-脱水反応 |
研究概要 |
隣接トリカルボニル化合物は中央のカルボニル基が高い反応性により、様々な興味深い反応を示すことが知られている。前年度までの研究で我々は、非環状な隣接トリカルボニル部位を側鎖に有するポリスチレン誘導体の合成に成功し、得られたポリマーのトリカルボニル部位において水との可逆的な水和-脱水反応が進行することを見い出している。本年度は、隣接トリカルボニル部位を有するスチレン誘導体(1)とスチレン(St)、メタクリル酸メチル(MMA)およびN-ビニルピロリドン(NVP)との共重合体(poly (1_<62>-co-St_<38>)、poly(1_<73>-co-MMA_<27>)、poly(1_<76>-co-NVP_<24>))の合成について検討した。また、得られた共重合体と水との反応性についても検討した。AIBNを開始剤としたビニル基を有するジケトンモノマーとSt、MMAおよびNVPの共重合により得られた前駆体ポリマーをDMSO中、NBSを用いて処理することで、側鎖にトリケトン部位を有する(poly (1_<62>-co-St_<38>)、poly(1_<73>-co-MMA_<27>)およびpoly(1_<76>-co-NVP_<24>)を合成した。得られた各共重合体の^1H NMRおよびIRスペクトルより前駆体ポリマーのジケトン部位がほぼ定量的に隣接トリカルボニル骨格へと変換されたことが確認された。次に、得られた各共重合体の水和-脱水反応を検討した。各共重合体のアセトン/水(9/1,ν/ν)溶液を室温で15分間撹拌した後、溶媒を留去することで各共重合体の水和体が定量的に得られた。IRスペクトルの結果から水和反応が定量的に進行していることが確認された。また、得られた水和体を減圧下、100℃に加熱することでトリケトン体への脱水反応が定量的に進行した。以上の結果は、得られた共重合体のトリカルボニル部位においても可逆的な水和-脱水反応が可能であることを示している。
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