研究課題/領域番号 |
21350077
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
持田 智行 神戸大学, 理学研究科, 教授 (30280580)
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研究分担者 |
西尾 豊 東邦大学, 理学部, 教授 (20172629)
桑原 大介 電気通信大学, 研究設備センター, 准教授 (50270468)
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キーワード | イオン液体 / 相転移 / フェロセン / 磁性 / ハーフメタロセン |
研究概要 |
本研究では、メタロセニウムカチオンを含む新しいイオン液体(メタロセン系イオン液体)の物質開発と機能開拓を目的としている。メタロセン系イオン液体は、遷移金属を組み込んだ機能性流体である。本年度は、昨年度見出された特異な磁気物性の解明に加えて、各種メタロセン分子を用いた新規イオン液体の物質開発を広範に展開した。 第一に、アルキルオクタメチルフェロセン系イオン液体の磁気特性の評価を進めた。前年度の研究で、この系では、結晶化の際に磁場配向が起こるため、固液変化に伴って磁化率のスイッチングが発現することを見出している。今年度は、(i)ESR測定による磁場配向の定量的評価、(ii)試料形状依存性の検討、(iii)誘導体の磁場配向の検討、を行うことで、磁場配向現象の機構および発現条件を明らかにした。 第二に、TCNEをアニオンとするアルキルフェロセニウム塩の合成と評価を行った。この系は比較的高融点であったが、混合、加熱による簡便な錯体形成が可能である。これらの物質系の熱的挙動と、その混合比依存性を明らかにした。第三に、鉄、マンガン、ルテニウム等を含む各種のハーフメタロセン類のイオン液体を実現し、その安定性および相挙動を評価した。第四に、フェロセンとイミダゾリウム骨格が連結したイオン液体を開発した。これらが酸化還元活性を持ち、光電子移動を示す機能性液体となることを示した。また、各種の類縁体について低温で結晶構造解析を行うことにより、カチオン-アニオン間の相互作用を評価した。
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