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2009 年度 実績報告書

一軸圧を駆使した有機超伝導体の基礎研究と高温有機超伝導体の探索

研究課題

研究課題/領域番号 21350080
研究機関首都大学東京

研究代表者

菊地 耕一  首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (40177796)

キーワード有機超伝導体 / 超伝導臨界圧力 / 一軸圧
研究概要

He循環型低温装置を購入し電気伝導度測定システムを立ち上げた。この装置を用いて圧力誘起超伝導体(BDA-TTP)_2I_3の絶縁体領域の電気特性を研究したところ、c軸圧下において非線形伝導が現れることを見出した。超伝導転移圧力の一軸圧印加方向依存性から、c軸圧下において超伝導が出現するのは電子構造が1/4充填バンド的になっているためと考えられるが、1/4充填バンドにおいては電荷秩序により絶縁化することもある。今回観測した非線形伝導が電荷秩序相に起因するものであれば、一軸圧により1/2充填バンドから1/4充填バンドへと電子構造が変化する仮説を支持するものとして重要な発見である。
(BDA-TTP)_2IBr_2においても(BDA-TTP)_2I_3と超伝導転移圧力の一軸圧印加方向依存性を示すことを明らかにした。バンド幅と超伝導臨界圧力の相関や電子構造と超伝導転移温度の相関などを明らかにするためには、一軸圧下での結晶構造解析が必要である。現在所有しているクランプ型の圧力セルより、試料室を大きした圧力セルを用いて結晶構造解析を試みたが、圧力の駈け過ぎによりベリリウムが破損したため、一軸圧下での構造解析には成功していないが、次年度は破損しない範囲の圧力において構造解析を行い、バンド幅と超伝導臨界圧力の関連性を明らかにする予定である。新たなドナー分子を用いて高温有機超伝導体に向けた研究としては新規TTPドナー分子から低温まで金属的挙動を示す錯体を開発した。これらの錯体は電子構造はかなり違うがいずれも低温まで金属的挙動を示すことは今後の物質開発の何らかの知見になると期待できる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Quantum critical behavior in the organic conductor β-(DHDA-TTP)2SbF62009

    • 著者名/発表者名
      Y.Weng, 他6名
    • 雑誌名

      Synthetic Metals 159

      ページ: 2394-2396

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Magneto-structural correlations in a 1,3,2-dithiazolyl radical crystal, BBDTA・ GaBr4 : Structure and magnetic properties of its three polymorphs2009

    • 著者名/発表者名
      W.Fujita, K.Kikuchi
    • 雑誌名

      Chem. --An Asian J. 4

      ページ: 400-405

    • 査読あり
  • [学会発表] 新規ヨウ化ドナーの錯体の構造と物性2010

    • 著者名/発表者名
      磯大介, 他7名
    • 学会等名
      日本化学会春季年会
    • 発表場所
      近畿大学
    • 年月日
      2010-03-26
  • [学会発表] ビス(メチルチオ)基を有するドナーを用いた分子性導体の構造と物性2009

    • 著者名/発表者名
      竹内一博, 他4名
    • 学会等名
      第3回分子科学討論会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2009-09-23
  • [学会発表] (BDA-TTP)_2I_3の一軸圧下での非線形伝導2009

    • 著者名/発表者名
      小野雅史, 他5名
    • 学会等名
      第3回分子科学討論会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2009-09-22

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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