研究課題
1.アスペクト比を制御したブルッカイト型酸化チタン光触媒ナノロッドの開発酸化チタン前駆体と結晶制御用のグリコール酸を添加し、アスペクト比を制御するための添加剤を加えて水熱合成プロセスにより、アスペクト比を制御したブルッカイト結晶構造を有する酸化チタン光触媒ナノロッドの合成に成功した。得られたブルッカイト型酸化チタン光触媒ナノロッドは非常に発達した2種類の結晶面が露出しており、それぞれ(210)面と(212)面と同定された。さらに、PVPやPVAまたは尿素等を水熱プロセスの際に添加剤として加えることで、酸化チタン光触媒ナノロッドのアスペクト比を1.6~4.9まで変化させることに成功した。ブルッカイト型酸化チタン光触媒ナノロッドの触媒性能を紫外光照射下で気相中のトルエンの光触媒酸化分解反応で評価したところ、アスペクトの増大に伴って触媒活性が向上し、現在市販されている環境浄化用の光触媒で最も高い性能のものと比較して4倍以上の触媒活性を達成することが明らかになった。さらに、高い触媒性能発現の要因について明らかにするために、露出したそれぞれの結晶面反応性について白金イオンの還元反応および鉛イオンの酸化反応により評価した。その結果、(212)面上では酸化反応が、(210)面上では還元反応が優先的に進行しており、粒子上で反応サイトがナノレベルで分離されたことにより高い触媒性能が達成されたと結論づけた。2.鉄イオンを結晶面選択的に担持した可視光応答性を示すブルッカイト型酸化チタン光触媒ナノロッドの開発研究代表者は、鉄イオンを市販の球状ルチル型酸化チタンナノ粒子に担持することで可視光応答性を発現することを以前報告している。これらの技術を応用して、今回開発した形状制御されたブルッカイト型酸化チタン光触媒ナノロッドの酸化サイトの結晶面にのみ鉄イオンを担持する技術開発を行った。結晶面選択的に鉄イオンを担持したブルッカイト型酸化チタン光触媒ナノロッドの可視光照射下での気相中のアセトアルデヒドの光触媒酸化分解反応の触媒性能は、紫外光照射下と同様にアスペクト比によって変化し、最大性能のアスペクトが市販品中最も性能が高い窒素ドープ酸化チタンと比較して3倍の性能を発現することを見いだした。
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