研究概要 |
ヒトゲノム情報の解析が終了し、ゲノムの大部分は蛋白に翻訳されずに機能すると考えられてきており、従来、「生命の設計図」であり情報の担い手であると考えられていたDNAやRNAに様々な機能があることが次々と明らかになってきている。本申請研究では、ゲノムの分子レベルからナノレベルの構造変化を厳密に識別できる高機能性分子を開発し、生命科学研究の新たな方法論に展開することを目指している。本年度は我々が独自に開発した遺伝子応答型アルキル化機能性核酸のさらなる高機能化及び細胞内における遺伝子発現制御について検討を行った。まず、高機能化の方法として、細胞内安定性さらには標的塩基の拡大を目指し、従来開発していた4-amino-6-oxo-2-vinylpyrimidine塩基をフレキシブルなスペーサーでオリゴヌクレオチドのバックボーンに導入した新規アルキル化機能性核酸を合成し、その反応性について検討した。その結果、RNAの相補的な位置のグアニンに対して、選択的に反応させることに成功した。さらにこの反応はZn,Niの添加により加速され、24時間後、約90%の収率で付加体を生成することを明らかにした。 一方、昨年までに合成した、2-amino-6-vinyl purine(2-AVP)を導入した2'-OMeRNAオリゴは中性条件下RNAに反応しないことがわかった。そこで2'-OMeRNAオリゴ配列を検討した結果、中性条件下RNAに反応する配列があることがわかった。
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