研究課題
本年度は、2'-0-メチルリボヌクレオシド誘導体を用いて、新規オキサザホスホリジンモノマーおよびリン原子の立体が制御されたホスホロチオエート2量体の合成検討を行った(オキサザホスホリジン法)。ホスホロチオエート結合を有する2'-0-メチルRNA類縁体は、siRNAやmicroRNAなどの核酸医薬として極めて有望視されている化合物の一つである。まず、不斉補助基となる光学活性アミノアルコールを合成し、高い光学純度で目的物を得ることができた。つぎに、光学活性アミノアルコールと三塩化リンを反応させ、オキサザホスホリジンモノマーを合成するためのホスフィチル化剤の合成を行い、収率良く目的物を得た。リボヌクレオシド誘導体として、2'-0-メチルウリジンを用い、光学活性オキサザホスホリジンモノマーの合成を検討した。従来法で問題となっていた縮合反応効率の向上を目指すため、本研究ではより酸性度の高い活性化剤を縮合反応に用いる。そのため、縮合反応時に5'-水酸基の保護基の脱離を防ぐため、従来汎用されるDMTr基よりも安定なMMTr基を用いることとした。5'-位がMMTr基で保護された2'-0-メチルウリジン誘導体をホスフィチル化剤と反応させて、高い光学純度で目的とする新規オキサザホスホリジンモノマーを合成することに成功した。光学活性モノマーと遊離の5'-水酸基を有する2'-0-メチルウリジンを固相担体上で酸性度の高い活性化剤、ジメチルシアノメチルアンンモニウムトリフラートの存在下で縮合させ、酸処理することにより、不斉補助基の除去を行った。得られたH-ホスホネート中間体を硫化し、固相担体から切り出し、得られたホスホロチオエート結合を有する2量体を逆相HPLCにより分析した。98%の縮合効率、99%以上の立体選択性で目的とする立体化学的に純粋な2'-0-メチルホスホロチオエートウリジル酸2量体を得ることができた。これらの結果は、オリゴマー合成にも十分適用可能な値であり、本年度の目標を達成することができた。
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